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【2025年の返戻・指摘傾向TOP10】2026年に備えるための“総点検レポート

【2025年の返戻・指摘傾向TOP10】2026年に向けた最大の教訓

2025年の介護請求を振り返ると、もっとも象徴的だったのは
「返戻・指摘の増加」と「指摘内容の質の変化」です。
単なる記録漏れや算定ルールの誤解といった従来型のミスだけでなく、
2025年は記録・計画書・LIFE・配置・多職種連携といった
「多要素が絡む複合的な不整合」が原因となる返戻が目立ちました。

これは単なる「請求担当のミス」ではなく、
組織の業務フローそのものが試される1年であった
ということを意味します。
本記事では、

  • 通所介護
  • 訪問介護
  • 訪問看護
  • 福祉用具貸与

という複数サービスを横断して、
2025年に特に多かった返戻・指摘TOP10を整理し、
実際の事例・背景・2026年に向けた改善策を丁寧に解説します。

目次

返戻・指摘傾向 TOP10(2025年総括)

【1位】計画書と実施記録の不一致(全サービス共通)

2025年に最も多く見られた指摘は、
計画書の内容と実施記録が一致していない
というものです。
これは科学的介護(LIFE)の拡大や審査のデジタル化により、
「計画と実績とLIFEのデータ」が自動的に比較されるようになった
ことが背景にあります。

事例(通所介護・デイサービス)

あるデイサービスでは、
機能訓練計画書に「歩行距離の延伸と立位保持の安定」と記載されていたものの、
実際の機能訓練記録には、

  • 「バイタル測定」
  • 「レクリエーション参加」
  • 「歩行見守り」

といった内容のみが記録されていました。

機能訓練としての根拠が弱く、計画書との関連が曖昧
と判断され、機能訓練加算が否認されました。

事例(訪問介護)

計画書では「掃除・洗濯サポート」と記載されているのに、
実施記録には「買い物同行」が複数回記録されていました。

理由は、家族からの依頼で急遽買い物に変更したためですが、
事後の計画変更手続きが行われず、
生活援助の逸脱として返戻となりました。

【2位】LIFE提出の不整合(ADL・計画・フィードバックのズレ)

2025年はLIFEの「質」が問われた年です。

  • ADL値の揺れ
  • 記録との不一致
  • フィードバック未活用
  • 提出データの矛盾

といった点が厳しく見られました。

事例(通所リハ/通所介護)

ADL評価で「自立」に近い点数をつけていた利用者について、
実施記録では、

  • 「立位不安定」
  • 「移乗介助あり」
  • 「歩行は常時見守り」

といった内容が多く記載。

審査側は「ADL評価の根拠が不明」と判断し、
科学的介護推進体制加算の算定が一部否認となりました。

【3位】モニタリングの未実施(特に通所介護・福祉用具)

モニタリングは、実地指導で最も指摘される部分の一つです。

事例(福祉用具貸与)

福祉用具計画書には「月次モニタリング」と記載されていたものの、
実際には3か月間記録が抜けていました。

担当者は「電話で確認していた」と説明したものの、
電話内容の記録がなく、
“未実施扱い”として指摘されました。

【4位】生活援助の記録の曖昧さ(訪問介護)

2025年は訪問介護の返戻で目立ったのが
“抽象的過ぎる生活援助記録” です。

事例(訪問介護)

記録内容:

  • 「掃除しました」
  • 「買い物に行きました」
  • 「調理をしました」

これでは、

  • 何の目的か
  • どの範囲か
  • 利用者の状態との関連性
    が不明で、返戻対象となりました。

【5位】医療系書類の期限切れ(訪問看護)

訪問看護で特に多かったのが、
指示書・褥瘡管理書の期限切れです。

事例(訪問看護)

ある利用者の訪問看護指示書が2週間遅れで更新され、
その期間の訪問が返戻に。

看護管理者は主治医への依頼メールを送っていたものの、
正式な指示書の不備は返戻を避けられませんでした。

【6位】入浴介助加算の根拠不足(全通所)

入浴加算の評価方法が明確化したことにより、
2025年は審査が強化されました。

事例(通所介護)

入浴加算取得のための

  • 入浴可否判断
  • 職員配置
  • 観察記録
  • バイタル記録

のいずれかが欠けているケースが多く、
「要件未達」との指摘が相次ぎました。

【7位】配置基準違反(日ごとの配置管理の不備)

看護職員・機能訓練指導員・管理者などの配置記録が不十分で、
日別で見ると要件未達となるケース。

事例(通所介護)

あるデイサービスでは、
看護職員のシフトが急遽変更されたにもかかわらず、
日別シフト表の更新が行われていませんでした。

支援記録上では看護職員が関与した形跡が少なく、
「配置基準未達」と判断され加算が否認。

【8位】研修記録の不足(科学的介護・感染対策)

2025年は研修証跡の提出要求が増加しました。

事例(通所介護)

科学的介護加算の研修が
「実施した」と管理者が説明したものの、

  • 実施記録
  • 資料
  • 出席者リスト
    が欠如。

これにより、加算否認に。

【9位】加算辞退漏れ(要件未達なのに算定)

要件未達時に加算辞退を行わず、
誤って算定を続けてしまう ケース。

事例(通所リハ)

機能訓練指導員が退職して1週間不在の期間があったにもかかわらず、
その期間も算定を継続してしまい、
遡って返戻となりました。

【10位】提供票の反映漏れ(ケアマネ連携ミス)

2025年は提供票の変更が年々増加し、
サービス事業所との連携ミスによる実績記録の不一致が発生。

事例(訪問介護)

ケアマネが月途中で利用曜日を変更したものの、
事業所が実績側に反映し忘れ、
違う曜日で記録してしまったことで返戻。

返戻・指摘の背景にある“共通原因”とは?

2025年に返戻が増えた背景は、
以下の4つに集約されます。

審査側のDX化(チェック精度が向上)

  • 記録
  • 計画
  • 実績
  • LIFE
  • 提供票

のデータが“横断で”照合されるようになりました。

記録の標準化が未整備の事業所が多い

記録の書き方・文言・フォーマットにばらつきがあると、
整合性が崩れやすい。

職員異動・退職による“属人化リスク”

記録管理を担当していたスタッフが退職すると、
加算運用が崩れるケースが多発。

業務の複雑化に対して体制が追いついていない

2025年は加算要件が細分化され、
職員配置・研修・LIFE・記録といった
“複雑な証跡管理”が必要になりました。

2026年に備えるための改善策

返戻を防ぐためには、
属人化しない業務フロー
DX前提の整合性確保が必要です。

ここでは実務的な改善策を提示します。

STEP
記録・計画書・LIFEの整合性を1セットで管理する
  • 計画書は抽象的にしない
  • 実施記録は目的・状態と紐付ける
  • LIFEは評価→記録→計画の一貫性を担保
STEP
モニタリングの“抜け”をゼロにするフロー構築
  • 月次モニタリング日を固定
  • 臨時モニタリングは訪問後24時間以内に記録
  • チェックリストで管理
STEP
提供票変更の反映チェックを月次フローに
  • ケアマネ変更 ☞ 即反映
  • 月末に二重チェック
  • 利用者一覧で反映漏れ確認
STEP
職員配置・研修のエビデンス一元化

下記の書類などをフォルダで整理。

  • 日別配置表
  • 研修資料
  • OJT記録
  • 資格証明
STEP
内部監査を“月次化”する

2026年の審査はさらに厳しくなるため、
年1回では不十分。月次でチェックする。

  • 記録
  • 配置
  • 加算要件
  • 医療系書類
  • LIFE
  • 提供票

まとめ:2025年の返戻から見える“2026年の最大テーマ”

2025年に増えた返戻の多くは、
記録・計画・LIFE・配置・提供票の整合性不足
が原因です。

2026年に備えるキーワードは次の3つです。

1. 記録の標準化

ズレを生みにくい環境づくり。

2. 月次内部監査の導入

返戻率が劇的に減少。

3. DXによる整合性自動化

複雑化した介護事業に必須。

【2025年の返戻・指摘傾向TOP10】2026年に向けた最大の教訓

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