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【2025年度を一足早く振り返る】加算再編と要件厳格化がもたらした「収益格差の年」

加算再編と要件厳格化がもたらした「収益格差の年」

2024年度の介護報酬改定を受け、2025年度は「加算の取得と維持」が経営に大きな影響を与えた年として振り返られます。制度の方向性は明確で、「科学的エビデンスに基づく介護」と「デジタル化による業務標準化」を前提として報酬体系が整理されました。
その結果、加算要件がより細かく明確化され、記録・評価・計画書の整合性が重視されるようになり、事業所間の収益に大きな差が生まれた一年となりました。本記事では、2025年度を一足早く振り返り、加算再編や審査傾向の変化、経営者が押さえておくべき重要ポイントについて総合的に解説します。

目次

科学的介護(LIFE)加算が「収益の柱」になった一年

まず2025年度の介護請求を語る上で欠かせないのは、科学的介護(LIFE)関連加算の存在感がさらに大きくなったことです。
科学的介護推進体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)、ADL維持等加算、口腔栄養関連加算など、LIFE提出を前提とする加算は、もはや“あって当たり前”の位置づけに変化しています。
しかし、2025年度の特徴は「提出率」だけではなく、提出内容の質が問われるようになった点です。

LIFEに求められたのは「量」から「質」へ

以下の項目が審査や実地指導で重点的に確認されました:

  • ADL評価の根拠がサービス内容と一致しているか
  • 計画書と実際の記録に矛盾がないか
  • モニタリングが定期的に実施されているか
  • LIFEフィードバックを活用しPDCAを回しているか

LIFEは提出さえしていれば加算が得られるわけではなく、
提出内容の精度=加算算定の安定性
という構図が明確に表れました。

結果として、運用が整っている事業所では算定率が安定し、収益の基盤を強化できました。一方、入力遅延や不整合が目立つ事業所では、算定否認による減収リスクが高まっています。

機能訓練加算・入浴加算の要件厳格化と運用負担

2025年度は、通所介護を中心に「機能訓練加算」「入浴介助加算」に関する審査・返戻が急増した一年でもあります。

機能訓練加算の厳格化

機能訓練加算では以下のような指摘が多発しました:

  • 計画書の作成手順が要件どおりでない
  • モニタリングの実施頻度が不足
  • 実施記録の記述が抽象的
  • 目標設定の根拠が不十分

特に、LIFEのADL値と機能訓練計画書の内容が一致しないケースは、審査で強く指摘される傾向が見られました。

入浴介助加算の細分化も影響

2024年改定で細分化された入浴加算は、以下の点がより厳しくチェックされるようになりました:

  • 職員配置と実施記録の整合性
  • 介助内容の具体的な記述
  • 入浴判定・観察記録の不備

これらは加算取得の難易度を高め、運用体制が未整備の事業所では算定を断念するケースもありました。

2025年度最大の特徴:加算取得の体制整備で“収益格差”が明確に

2025年度の介護請求を象徴するのは、
「加算取得の体制整備ができた事業所」と「できなかった事業所」の収益差が大きく広がったこと」
です。

以下のような体制を整えた事業所では、加算の安定算定が可能となり増収につながりました:

プラスに作用した取り組み

  • 記録のデジタル化
  • 職員研修の体系化
  • 計画書テンプレートの統一
  • LIFE提出の品質管理
  • 月次内部監査の導入
  • 請求前チェックの自動化(DXツール活用)

これらを行った事業所は、加算算定率が95〜100%に安定するケースが多く見られました。

逆にマイナスに作用した要因

  • LIFE入力の遅延やミス
  • 記録のバラツキ
  • 担当者任せの運用
  • 研修・教育不足
  • 内部監査の不在
  • 記録システムの未導入

これらの要因が重なると、加算否認が頻発し、収益が不安定化しました。

収益の差は、制度の変化ではなく“体制整備の差”が原因となった一年だったと言えます。

2026年度への準備:経営者が今から取り組むべき4つのポイント

2025年度の総括から、経営者が2026年度に向けて準備すべきポイントは明確です。

記録・計画書の整合性確保(デジタル化は必須)

記録の不整合は返戻・指摘の最大要因です。
以下の取り組みが必須になります:

  • 記録と計画書を同一システムで管理
  • 文言テンプレートの統一
  • 記録のリアルタイム入力支援

LIFE提出の品質管理体制の構築

提出率だけでなく「提出内容の妥当性」のチェックが欠かせません。

  • ADL評価の正確性
  • モニタリングの抜け漏れ防止
  • フィードバックの活用

加算要件の月次チェック体制

以下を毎月確認することで返戻リスクが大幅に低減します。

  • 要件を満たす根拠の有無
  • 計画書の更新漏れ
  • 職員配置・研修記録
  • 実施記録との差異確認

請求DXの導入(ケアプランデータ連携)

2025年度後半から、ケアマネとのデータ連携が標準化し始めています。

  • 計画 → 実績 → 請求 の自動同期
  • サービスコードの自動補正
  • レセプトチェックの自動化

これらは請求ミスの削減に直結します。

結論:2025年度は「体制の差が収益差を生んだ転換期」

2025年度は、制度が大きく変わったというよりも、
制度が求める“科学的・標準的な運用”に対応できたかどうかで事業所の差がついた一年
でした。

加算再編・要件厳格化・LIFE品質重視・記録整合性のチェック強化など、
介護請求に求められるハードルは確実に高まっています。

2026年度に向けて、

  • 記録の標準化
  • DX導入
  • 職員教育
  • 内部監査の体制

を進めることが、経営の安定と加算算定の継続に直結します。

加算再編と要件厳格化がもたらした「収益格差の年」

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